追悼記念碑のオブジェ

2020年のことになりますが、東北大震災の気仙沼市の追悼記念碑「祈りの帆(セイル)」のオブジェの制作にかかわりました。

 当初は知り合いのデザイナーさんのご紹介で東北大震災の追悼オブジェを作るのに水族館で使用されているような「分厚いアクリル板」を製造して、そこにレーザーで3D彫刻ができないか?というお問い合わせでした。調べていくうちに貼り合わせたアクリル板ではレーザー彫刻ができないとわかり、製造の方向性がアクリル板から長さが1mを超えて、厚みも10㎝位のクリスタル板をつくれるところを探すことになりました。

 過去に弊社にお問い合わせの合った大手のガラス会社にも問い合わたり、クリスタル関係の会社にお問い合わせしましたがどこも「できません」「不可能です」というお返事ばかりで困り果てていたところ、ふと弊社と長く取引しているお得意先様の中国工場のことが頭を過ぎり、さっそく打診してみて調べてもらったところ、中国のクリスタルの加工現場と密にお取引をされており、たまたまかもわかりませんが、今回製造したいサイズに近いサイズのクリスタル板があるいうことがわかり、そこから話がドンドン具体化して進み現実となりました。

 出来上がってしまえば、シンプルなものですので「こんなものか~」となりますが工場でもこんな大きなクリスタルの中心にレーザー加工した経験がなく、出力が強すぎれば割れてしまう恐れもあるので、本番までにはミニサイズのサンプルを作成するなど試行錯誤でテストを繰り返しました。

1/5ミニサイズ試作品です。全体仕上げがマット調のため下から光をあてて彫刻を見えやすくしています。

クリスタル自体の大きさがまず、幅1000×奥行600×厚100mmサイズで、もしかすれば世界最大のクリスタルかもしれません。なので重量は、なんと120~130kg にもなりました!そして、そのクリスタルの内部にカラーのお花と2011.3.11」を3Dで彫刻して仕上げました。こちらがその写真になります。

 

公開されるまで極秘扱いでしたが、ようやく皆様にご紹介でき、とても嬉しく思います。

またこちらは「祈り 3 11 気仙沼市復興祈念公園 開園」と題したダイジェストになりますが、YouTubeにも動画がございます。良ければ、ご覧ください。

末尾になりましたが、まだまだ復興は終わってません。そして、先日には和歌山県と言う弊社にも身近な場所で幸い死者やけがをされた方はいらっしゃらなかったようですが、震度5弱という大きな地震もあり、去年から流行を続ける新型コロナウィルスも第4波がくるかもしれない、などと、いつ収まるかもわかりません。いつ何時、どんなことが起こるかわからないからこそ、毎日を大切に過ごしていきたいですね。